この記事はフィクションですが、本当にありそうな内容を書いています。
こんにちは!わっちょです!
今回は、在宅生活を送る独居の男性についての物語です。
特徴としては、生活保護を受けていて、多くの疾患を持っていることです。
生活保護を受けていても、訪問看護は問題なく利用可能なのです。
しかし、生活保護を受けていない方と若干異なる点もありますので、そこについても触れていけたらと思います。
近年独居の高齢者はどんどん増加しています。
全員とは言いませんが、その中でも生活保護を受けられている独居の男性は気難しい利用者さんが多いと感じています。
関わりが難しかったり、最期に向けての意思決定が定まりづらいこともあります。
「あきらさん」の事例を通して学んでいきましょう。
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経過
高血糖にて入院されていた経緯あり。
インスリン自己注射の指導を受け退院されていましたが、高齢により手技が難しくなり、生活意欲も低下していきました。
その結果、血糖コントロールが上手くいかず訪問看護が介入することとなりました。
入院中もお酒やタバコを隠れて吸っていたようで、半ば強制的な退院であったようです。
本日が初回訪問です。
トレシーバ10単位を週3回で施注
※血糖値が100mg/dl以下であればインスリンをスキップ。
70mg/dl以下であれば、
①インスリンスキップし、ブドウ糖10g内服し15分後に再検。
②改善なければ、70mg/dl以上になるまで①を繰り返し。
基本情報
- 家族構成
- 配偶者や子供はおらず、親戚とも疎遠になり連絡先も知らない状態。
- キーパーソン
- 役所の生活保護担当課
- 主病名
- 2型糖尿病
- 心不全
- 腎不全
- サービス
- 訪問看護が週に3回
- ヘルパーが生活援助で週3回
- 週1回で訪問薬剤師が薬管理をしている。
- 主治医
- 往診医が開始。
- 介護度
- 要介護2
- 嗜好品
- タバコ1日1箱
- お酒:350mlのビールを1日3缶
- 性格
- 頑固で生活意欲が低く、他者からの意見は聞き入れない。
実際の関わり
あきらさん、こんにちは
あまり綺麗な部屋ではないなぁ。
どちらさん?
看護師のわっちょです。
何の用事かな?
ケアマネージャーさんから、
体調の確認とインスリンのお手伝いをして欲しいと言われて来ました。
そのような事を言ってたね。
何もしてくれなくていいんだけど。
先日に入院されたとお聞きしました。
血糖値が原因だったようなので、なるべく入院とならないように、
看護師で体調管理のお手伝いをさせて頂きたいです。
確かに、もう入院はごめんだね。
タバコ吸ったら医者や看護師に怒られてね。
吸いたいんだからしょうがないだろ。
病院は治療の場ですからね。
自宅での自由な生活を続けられるようにしていきましょう。
で、何するの?
まずは体調を確認させて頂きます。
対応や血圧などの測定をしますね。
体温:36.5
血圧:140/68
脈拍:70
呼吸数:16
SPO2:97%
肺音:左右左なし、クリア
排泄:尿・便ともに定期的にあり
浮腫:下腿に軽度あり
特に問題ありませんね。
お薬は飲めてますか?
内服カレンダーの、昨日・今日の分が残薬あり。
薬?飲んだよ。
あきらさん、今日の日付の薬が残ってましたよ。
あれ?本当だな。
後で飲むわ。
朝食は食べましたか?
食べたよ。
では今のうちに飲んでおきましょうか。
準備しますので。
後で飲むからいいって。
そうですか。
では机に置いておきますね。
はいはい。
このように、頑固で面倒くさがりの方は、「後で飲むから置いておいて。」と言われることが多いです。
机に置きっぱなしで結局は内服していないことも多いのです。
しかし、今回は初回訪問であるため、無理強いせず次回に評価することとしますね。
もし内服を忘れていることが続くようなら、看護師・ヘルパーで声掛けすることも検討しましょう。
次に、血糖値を測りましょうか。
血糖値ね。
自分でやってたけど、段々難しくなってきたからな。
毎日やるのも面倒だからな。
これからは看護師が週3回で来るので、その時に打ちましょう。
週に3回で良いのか?
そうです。
この薬は1日から2日間近く効果が得られるので、
毎日ではなくても大丈夫です。
病院では毎日打ってたぞ。
打てるなら毎日のほうが良いですが、
毎日訪問することは難しいので、最低でも週に3回打つことができれば良いと聞いております。
自分で血糖管理が難しい利用者様へは、週3から4回の訪問で持続型インスリンを施注という指示が多いです。
ただし、
- 穿刺のみは自己でできる(失明や認知力の低下により)
- ヘルパーさんの事業所によって、ある程度の介助ができる場合。(血糖測定記やインスリンの針セッティングなど)
- デイサービスなどで施注可能である。
このような場合であると、ほぼ毎日インスリンを施注できるケースもあります。
- 本人の状態介護度
- 使ってるサービス
- 事業所の特徴
などを踏まえ、医師と連携し本人にとって最適な血糖管理方法を見出すのも、訪問看護師の役割です。
ふーん、そうなんだ。
まあやってくれるなら後は任せるよ。
わかりました。
では、血糖値を測りましょうか。
ピッ 368mg/dl
高いですね。
食事はどのようなものを食べてますか?
普通だよ。
買ってきた弁当だったり、カップ麺だったり。
ヘルパーさんも食事の準備をしてくれるのですよね?
美味しくないんだよ。
もっと味が濃いのが好きなんだよ。
味が濃いものは美味しいですよね。
そうだろ?
みんなに、もっと薄味にしろとか言われるけど、
そんなもの食べられない。
そうですね。食べにくいですしね。
机やベッド周囲にお菓子も散乱している。
色々と改善点があるけど、突っ込みすぎると関係が悪くなりそうだし、
今日は何も言わないでおこうか。
ではインスリンを打ちますね。
はいはい。
はい、終わりましたよ。
はい、ありがとう。
今日はこれで終わりです。
ちょっとタバコ吸わせてね。
はい💧
では、失礼します。
また明後日に来ますね。
はい、よろしく。
アセスメント
本日の訪問では、あきらさんの状態は安定されているようです。
食生活や内服管理など、まだまだ介入が必要なところがありますね。
糖尿病・心不全・腎不全という疾患があり、関わりを見ても、今までの生活習慣を改善するのは難しいかもしれません。
少しずつ介入し、訪問によるインスリンの確実な投与と内服忘れ防止に努め、現在の疾患を悪化させないように関わる必要があります。
血糖コントロールが不良で高血糖が続くようであれば、主治医に報告し単位の見直しも必要かもしれません。
生活に関しては、ケアマネージャーを通して多職種と共有しておきましょう。
今後の計画
- 定期的な訪問による血糖管理。
- 内服忘れが続くようであれば、看護師・ヘルパーにて内服の促しを行う。
- 清潔のセルフケア不足である可能性があり、保清ケアも考慮する。
- ヘルパーの食事を食べていないのであれば、食事は自由にしてもらい、代わりにヘルパーに保清ケアを行ってもらうか。
- デイサービスの提案。(恐らく難しいが、、、。)
振り返り
今回は、生活保護を受けている独居の男性「あきらさん」を書いてきました。
生活保護を受けている方が、全てが関わりにくい利用者さんではないのですが、対応が難しい方は多いです。
以前に書いた「しげるさん」の事例にもあるように、対応が難しそうな利用者さんには、看護師側の意見を伝えすぎると逆効果となる場合があります。
独居の高齢者で、管理が難しい方の血糖コントロールに関しては、今回の事例のような大雑把な指示となることが多いです。
- 週3〜4回のインスリン
- ①血糖値100以下でインスリンスキップ、70以下でブドウ糖内服。
- ② 15分後に再検し、改善なければ①を繰り返す。
このような指示が多く、その日の血糖値が300や400を超えていても、単位の変更などはしません。
高血糖や低血糖が続くようなら医師に相談します。
内服管理に関しても、「あきらさん」のような方は難しいですね。
ただ忘れていただけ、というなら促すだけで内服可能なのですが、「後で飲むから。」という断り方をされると、無理強いもしづらいですし、内服確認もできません。
次に訪問する時には、結局は内服できていなかったということが多いです。
介入してすぐに改善することは難しいため、しばらく観察し、実際どれくらい内服できていないのかを把握しましょう。
その上で多職種と連携し、ヘルパーなどの協力も得ながら内服管理できるように促していく必要がありますね。
そして、生活保護を受けている利用者さんに関して特徴的なのが、訪問看護の費用が一切かからないということです。
訪問先によっては、できるだけお金をかけないように訪問回数や時間を制限されてしまい、行えるケアも限られてくる場合があります。
しかし生活保護の方はお金の心配はいらないので、こちら側が必要と思えば介護保険の限度額の範囲内でいくらでも訪問ができます。
もちろん利用者さん側の意向も汲み取りつつです。
訪問看護へ転職は、メディカルスタジアムでスカウトを待ちながら、求人数が多い看護師求人EXとジョブデポ看護師で探すという方法がおすすめ👍
今回の物語はこれで終わります。
「あきらさん」のようなケースでは、病状が進んでいくにつれて関わりがどんどん難しくなっていきます。
今後の関わりも書いていきますので、またの更新をお待ちください。
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