在宅で適切な判断を行うために必要な7つの思考プロセス

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役立つ書籍を紹介

こんにちは!わっちょです!

今回は、こちらの書籍、在宅ケアのための判断力トレーニングを紹介します。

こちらの書籍は、訪問看護師として重要な、在宅での判断力を養うための書籍となっています。

訪問看護に興味がある方は、訪問看護の業務内容や働き方などはある程度調べておられると思います。

しかし訪問看護での考え方は、あまりわからないという方が多いのではないでしょうか。

実際に病棟経験が長くても、病棟と訪問看護の考え方や対応の仕方が全く違うため戸惑うことがあります。

病棟と訪問看護の考え方は、働いてみないと分からないことが多いです。

ですがこの書籍では、事例を通して、訪問看護師がどのようなプロセスで「判断」をしているのかが分かりやすく書かれています。

実際に働いている看護師は、何かに言語化しながら判断をしているのではなく、現場で起こっていることに対し頭の中で考え判断しています。

そのため、経験が浅い看護師や病棟から転職したばかりの看護師では、訪問看護師がどのように判断をしているのかが理解できないのです。

本書では、訪問看護師の判断プロセスが概念化されています。

大きく3つのChapterがあり、

  1. 訪問看護師の思考プロセス
  2. 判断力を鍛える方法
  3. 自律的な学びを支えるもの

に分かれています。

この記事では、その中でもChapter1の訪問看護師の思考プロセスについて書いていきます。

これらについて事例を見ながら学んでいくことで、実際に働きながら自身の判断を振り返ることができます。

まだ訪問看護師として働いていない方は、訪問看護の考え方がわかるでしょう。

もし自分の判断力に不安がある看護師は、一読してみることをオススメします。

このような看護師に読んで欲しい
  • 病棟から訪問看護師に転職しようと考えている。
  • 実際に訪問看護師として働いているが、まだ経験は浅い。
  • 訪問看護師になってバリバリ仕事をこなしている。

訪問看護への転職は、メディカルスタジアムでスカウトを待ちながら、求人数が多い看護師求人EXジョブデポ看護師で探すという方法がおすすめ👍

Chapter 1 訪問看護師の思考プロセス

本書では、訪問看護師の思考プロセスを、7つのステップで解説しています。

その7つとは、

  1. 手がかりを感じ取る力
  2. 見えないことを推論する力
  3. 考えを言葉にする力
  4. 余計なことをしすぎない力
  5. 最善解を導く意思決定の共有
  6. 多職種と共に導く最善解
  7. 倫理的葛藤に向き合う意思決定

順番に見ていきましょう。

ステップ1 手がかりを感じ取る力

この手がかりを感じ取る力というのは、

  1. いつもと違うことに気がつけるか。
  2. 気づきに対して疑問を持つことができるか。
  3. 疑問を解決するための行動を起こせるか。
  4. なぜその行動を起こす判断をしたのかを振り返る。

この4つのプロセスを経て、手がかりを感じ取る力を身につけていきます。

このプロセスを実行するためには、まず第一にいつもと違うことに気づく必要があります。

この気づきを感じ取るためには、相手に関心を寄せ、いつもの状態を把握しておく必要があると著者は述べています。

看護師をしていると、これまで散々耳にしてきた個別性というものですね。

同じ年齢や疾患を持っていても、バイタルの基準値や症状・生活パターンなど、一人一人が違います。

患者さん・利用者さんのそれぞれの個別性を理解しておくことが、普段の状態を把握することに繋がります。

普段の状態を把握しておくことで、いつもとは違う変化に気づくという、手がかりを感じとる力になるわけですね。

ステップ2 見えないことを推論する力

  1. あらゆる仮説を立てられるか
  2. 推論の焦点を絞ることができるか
  3. 仮説を確かにする根拠に当たれるか
  4. 病状と生活を想像して予測できるか

これらの4つのポイントがあります。

その場での出来事を通じて、病状や生活などの情報を収集を行い、何が起きているのか、何が考えられるのかの仮説を立てます

仮説を立てた後、相手に問いかけながら必要な情報をさらに引き出し焦点を絞ります。

立てた仮説の中で確信に近いものを導き出しましょう。

仮説を絞り込んだ後は、その仮説を裏付ける根拠を探し出します。(例えば、薬の添付文書など。)

訪問看護では、病院のように24時間ずっと医療者がいることはないです。

そのため、訪問時の短時間で少ない情報から、今後の予測を立てて行動する必要があります。

そして、毎日のように利用者さんと関わることができないため、次に訪問するときの病状や生活を予測してプランを立てる必要があります。

ステップ3 考えを言葉にする力

  1. 対話を積み重ねる事ができるか
  2. 症状(身体の声)を明確にする事ができるか。
  3. 予測したことを伝えることができるか

これらのポイントがあります。

何かいつもとは違うに気付き(ステップ1)、複数の仮説を立てる(ステップ2)まで問いかけを続けます。

その後さらに深掘りしていくことで、経時的な変化を捉えて判断をしていきます。

そして相手が感じた体の変化を、身体症状として明確化して本人に問いかけましょう。

例えば、

バタバタ苦しい→息切れ・息苦しさ?

ふらふらする→低血圧?

というような感じです。

予測ができれば、これから起こりうることに関して、訪問看護師から療養者や家族へ伝える必要があります。

適切な予測ができたとしても、それを上手く周囲に伝えて行動を促さないと、訪問看護師や本人・家族の対話も上手くいかず、対応が遅れてしまうこともあり得ます。

普段から考えを伝えておくことが必要ですね。

ステップ4 余計なことをしすぎない力

  1. 価値観の違いに気づくことができるか
  2. その人の価値観を先に考えられるか
  3. その人の「力」を信じ、尊重できるか

これらのポイントがあります。

在宅ケアでは、病院よりも個別性が高く、価値観に基づくものが多いです。

そのため、本人・家族と対話を重ね、本人・家族と訪問看護師の価値観の違いに気づく必要があります。

その価値観によって、結論が左右されることになります。

ですが、本人や家族の価値観だけに捉われたり、医療者側の価値観を押し付けるのもいけません。

本人・家族の価値観に寄り添いつつ、医療者側の価値観にも寄り添わせて、予防や対策を打つことが必要です。

さらに在宅では、医療者目線でリスクがあると判断しても、実際は「本人が慣れ親しんだ方法が最も安全」な場合があります。

時には看護師が撤退することも必要となるかもしれません。

余計なことをしすぎない力が訪問看護師に求められると言えます。

ステップ5 最適解を導く意思決定の共有

ステップ5は、ステップ1〜4までの統合となっています。

ポイントは、

  • 「本人の望み」を中心に考えることができるか
  • 病状から予後を予測してできるか
  • 家族の「力」を見極めることができるか
  • ゴールを共有することができるか

の4つです。

ここでは、終末期を迎える療養者の事例を用いて、意思決定について書かれています。

意思決定で大事なのは、あくまで中心は「本人」ということです。

意思疎通が難しい状態であっても、本人は以前どういう思いがあったのか、本人ならどう考えるかの問いかけが必要です。

その中から意思決定に繋がる事を導き出し、本人・家族・訪問看護師が同じ方向を向けるようにしていきます。

ここで大事なのは、意思決定を支援するときに、医学的根拠に基づいて終末期の判断や予後予測を行うこと。

当たり前ですが、なんとなくの憶測を伝えるのはいけません。

また、意思決定の支援では、家族の理解力や終末期への心の準備ができているかどうかでも左右されるでしょう。

本人や家族にとっての、最も良い「ゴール」を目指して判断していくことが大切です。

ステップ6 多職種と共に導く最善解

在宅でのケアは、多職種との連携が重要です。

ステップ6でのポイントは、

  • 多職種から情報を引き出すことができるか
  • 多職種と無理なく協働できるか。
  • ステップアップのタイミングを図ることができるか。

の3つです。

訪問看護では、週に数回の短時間の関わりであるため、相手の全体像が把握しにくいです。

看護師のアセスメントだけではなく、多職種から必要な情報を収集し、その情報から全体像を把握しアセスメントに繋げる必要があります。

在宅療養者を支えるには、多職種との連携が不可欠ですが、決して無理強いをしてはいけません。

たまに、看護師主体で高圧的な態度をとって自分が中心のような看護師がいますが、それは協働ではないです。

互いの職種が無理のない程度で、同じ目線でケアにあたる事が大切です。

そうすると多職種間でも信頼関係が生まれ、その後のケアの質にも繋がっていきます。

多職種間での信頼関係を築き、本人や家族も含めた全員が協働し合うことで、ステップアップしていく事ができます。

このように、関係する全員を繋ぎ、リーダーシップを発揮するのも、訪問看護師の役割ですね。

ステップ7 倫理的葛藤に向き合う意思決定

このステップ7は、終末期の事例をもとにした倫理的葛藤に向き合う意思決定について書かれています。

  • 本人の意向を繰り返し確認できるか
  • 話し合う場をつくることができるか
  • 「本人の望み」を多職種連携の中心におくことができるか
  • 在宅看取りの体制を整えることができるか

これら4つです。

訪問看護師は、病状の変化に伴い本人の思いの変化を察知できる存在です。

本人・家族の思いを繰り返し確認し、その思いに寄り添うこと、そしてその選択肢が叶えられる準備をする事が大切です。

終末期に限らず、療養場所や治療の選択について、本人や家族間で意見が割れることがあります。

それぞれの思いを表出できるような機会をつくり、全員が同じ目標に向かって進むために支援するのも訪問看護師の役割ですね。

そして、在宅で看取る為には、在宅医の存在が必要不可欠です。

病院の医師が主治医であれば、そのまま在宅で亡くなってしまうと、警察による検死になります。

検死にならないよう、病状の変化を察知し、早めに在宅看取りの体制を整えることも訪問看護師の役割といえますね。

Chapter2 判断力を鍛える方法

Chapter2では、臨床推論・臨床判断モデル・Stop and Thinkについて書かれています。

臨床推論とは簡単に言えば、様々な出来事に対し、知識や経験などの様々な要素から分析をして理解するということです。

医師の診断や治療方針決定のために思考プロセスだと言われていますが、看護師にも必要な思考プロセスですね。

特にすぐに検査や治療が行えず、医師も近くにいない訪問看護ではさらに重要です。

臨床推論についてのモデルや、Stop and Thinkというフレームワークについても書かれています。

Chapter3 自律的な学びを支えるもの

Chapter3では、認知バイアス・リフレクション・心理的安全性とアンラーニングについて書かれています。

認知バイアスの中で、判断ミスを起こす原因となるバイアスについてが書かれています。

バイアスとは簡単に言うと「思い込み」です。

利用者さん
利用者さん

腰が痛いです。

わっちょ
わっちょ

元から腰痛持ちと言っていたからそれが原因だろう。

のように、直感で決めつけてしまうことです。

これは早期的に思考をやめてしまう早期閉鎖というものです。

合計で10個のバイアスがあるため参考にしてください。

このようなことも含めて、自分自身の判断を常に振り返ることが大切です。

まとめ

日々の振り返りにも、根拠がなければ曖昧になってしまうでしょう。

そんな時は、この「在宅ケアのための判断力トレーニング」を読んでください。

自分の思考プロセスや、判断ミスに繋がるような自身の癖など、根拠を持って振り返ることができます。

詳しい内容が知りたければ、ぜひ一読してみてください。

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